【家づくりの収納失敗】ファミリークローゼットは広さだけでは不十分。可動棚で収納力はここまで変わります
「収納スペースはしっかり確保できたから安心!」…と思ったあなた、実はそこからが本当の勝負なんです。今回は、家づくりの収納で失敗しないための「棚板の選び方」について、プロの目線でわかりやすく解説していきます。
設計士
収納の失敗って、実は「広さ不足」だけではなく「中身の設計不足」で起こるケースが多いんですよ。
📖 この記事でわかること
✅ この記事の結論
クローゼットの棚板は、迷わず「可動式」を選んでください。
- 高さ・枚数を自由に変えられる
- 子どもから大人まで対応できる
- 将来は大型収納にも変身可能
- 固定式との価格差はほぼ誤差の範囲
この一手間で、5年後・10年後の「片づけやすさ」が劇的に変わります。
収納は「箱」を作って終わりではありません
前回の記事では、家づくりの収納不足を防ぐ第一歩としてファミリークローゼット(ファミクロ)のお話をしました。脱衣室や洗面室に隣接させることで、帰宅後の着替えや洗濯物の収納がぐっと楽になる、というお話でしたね。
「よし、うちもファミクロを2帖確保できそう!」と安心された方、素晴らしいです。ですが、実はここで気を抜くのはまだ早いのです。
⚠️ よくある勘違い
収納スペースという「箱」を確保できたら、次に待っているのが「棚板の構成をどうするか」という、意外と見落とされがちな重要ポイントなのです。
収納の失敗は、実は「広さ」だけでなく「中身の設計」でも起こります。
みんな選びがちな「枕棚+パイプ」、実は落とし穴があります
洋服を掛ける収納を計画する際、多くの方が迷わず選んでしまうのが、「枕棚(まくらだな)+ハンガーパイプ」という組み合わせです。上部に固定された棚板を1枚設け、その下にハンガーパイプを1本通す、あの昔からおなじみのスタイルですね。

標準仕様である事が多く、これで十分と思われるかもしれません。
誤解のないようにお伝えしておくと、これは決して間違った選択ではありません。標準的で無難な、いわば収納の「定番メニュー」です。
ただし、プロの目線で正直に申し上げると、この枕棚+パイプには、はっきりとした弱点があります。それは、一度取り付けたら、高さも枚数も一切変えられないという点です。
固定式は、いわば「頑固な上司」のようなもの。一度その位置に落ち着いてしまうと、後からどれだけお願いしても、位置を変えてはくれません。
枕棚+パイプで起こりがちな3つの困りごと
📝 こんな失敗、していませんか?
- コートの裾が床につく問題:掛けたい服の丈にパイプの高さが合わない
- 子どもが使えない問題:高すぎて結局親が出し入れ係になる
- デッドスペース問題:パイプ下に中途半端な空間ができて物を詰め込むだけの場所に
解決策は「パイプ付き可動棚」。収納の自由度が一気に広がります
そこで私が声を大にしておすすめしたいのが、ハンガーパイプを取り付けた棚板を「可動式」にするという方法です。
壁面や背面にレール(ダボレールなどと呼ばれます)を設置し、そこに棚板を引っ掛けて固定する仕組みで、必要に応じて上下に位置を動かすことができます。

可動棚の3大メリットを徹底解説
メリット①:設置高さを自由に変えられる
可動棚の最大の魅力は、収納するものや使う人に合わせて、パイプの高さを後から変えられることです。
- 丈の長いコートを掛けるなら、パイプの位置は高めに設定
- 丈の短いジャケットやシャツが中心なら、パイプはやや低めに設定
- 使う人が子どもであれば、手の届く低い位置に設定して自分で身支度
- 成長して大人と同じ収納を使うようになったら、また高さを見直す
👍 ここがポイント
「収納するものがコートかジャケットか」「使う人が子どもか大人か」によって、パイプ付き棚板の位置を柔軟に変えられるのが可動棚の強み。固定式では実現できない、暮らしに寄り添った収納がつくれます。
メリット②:設置枚数を変えられる(上下2段活用術)
可動棚のもう一つの大きなメリットが、棚板の枚数を自由に変えられることです。丈の短い衣類が中心の場合は、思い切って上下2枚のパイプ付き棚板を設置してみましょう。
🎯 上下2段活用の実例
- 上段:ジャケットやシャツなど、丈の短い衣類を掛ける
- 下段:ハンガーパイプにS字フックを引っ掛けて、傘やカッパ、部活道具(ラケットやバッグなど)を吊るす
こうすることで、縦の空間を無駄なく使い切ることができます。「枕棚+パイプ1本」ではなんとなく余ってしまっていた下部の空間も、可動棚なら立派な収納力に変わるのです。
メリット③:将来、棚板を全撤去して大型収納にも早変わり
意外と見落とされがちなのが、将来の変化への対応力です。お子さんが独立して収納する衣類が減った、新しい趣味で大きな道具が増えた、キャリーケースやベビーカーの置き場が必要になった……。
こうしたライフスタイルの変化が訪れたとき、可動棚であれば棚板をすべて取り外し、床から天井まで使える大きな収納空間として使い直すことができます。

可動棚にも様々なタイプがあります。パイプ単体で稼働する物や、既存のパイプに引っ掛けて追加パイプを設置する物もあります。
気になるお値段は?「可動棚は高い」は思い込みです
価格が気になりますよね?
💰 ご安心ください
固定式の枕棚+パイプと、パイプ付き可動棚とでは、価格に大きな差はありません。
メーカーや仕様によって多少の変動はあるものの、家づくり全体の予算から見れば誤差の範囲です。
むしろ、使いにくい固定棚のまま暮らし始めて、後から収納家具を買い足したり、リフォームで棚を作り直したりする方が、よほどコストがかかってしまいます。「最初から使い勝手の良い仕様を選んでおく」ことが、長い目で見て一番賢い選択なのです。
固定式 vs 可動式、ひと目でわかる比較表
| 比較項目 | 固定式(枕棚+パイプ) | パイプ付き可動棚 |
|---|---|---|
| 高さの調整 | ❌ できない | ⭕ 自由に変更可能 |
| 枚数の変更 | ❌ できない | ⭕ 増減できる |
| 大型収納物への転用 | △ 工事が必要な場合も | ⭕ 棚板を外すだけ |
| 価格 | 標準的 | ほぼ同等 |
| 見た目のすっきり感 | ⭕ シンプル | ⭕ 同様にすっきり |
こうして並べてみると、可動棚の優位性は一目瞭然です。見た目の印象はほとんど変わらないのに、使い勝手と将来への対応力には大きな差があります。
設計士からのお願い:「可動式にできますか?」のひと言を忘れずに
住宅業界では、長年の慣習として「クローゼット=枕棚+パイプ」が標準仕様として提案されることが少なくありません。担当者が深く考えずに、当たり前のように固定棚で図面を進めてしまうケースも実際にあります。
✨ 打ち合わせで伝えたい魔法のひと言
「棚板は可動式にできますか?」
このひと言があるかないかで、10年後、20年後の暮らしやすさが大きく変わってきます。
収納失敗を防ぐチェックリスト(棚板編)
最後に、図面や仕様書を見ながら確認していただきたいポイントをまとめます。
✔️ 棚板選び 最終チェックリスト
- クローゼットの棚板が、なんとなく「枕棚+パイプ」で決められていないか
- 子どもと大人、どちらにとっても使いやすい高さになっているか
- 上下2段のパイプ付き可動棚で、傘やカッパ、部活道具の収納場所を確保できているか
- 将来、家族構成や収納物が変わったときに対応できるか
- 「棚板は可動式にできますか?」と、担当者にひと言伝えているか
まとめ:収納は「動かせるかどうか」で10年後の暮らしやすさが変わります
収納スペースを確保することはとても大切ですが、それだけでは家づくりは完成しません。中に取り付ける棚板の構成、つまり「固定式にするか、可動式にするか」までしっかり検討することで、はじめて本当に使いやすい収納が完成します。
🏆 最終結論
収納は、ぜひ「可動式」を選択してください。
それだけで、5年後、10年後の「片づけやすさ」が大きく変わってくるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 可動棚は本当に固定棚と同じ価格ですか?
メーカーや仕様により多少の差はありますが、家づくり全体の予算から見れば誤差の範囲です。むしろ後から収納家具を買い足すコストを考えると、可動棚のほうがトータルで安く済むケースが多いです。
Q2. すでに固定棚で図面が進んでいます。変更できますか?
着工前であれば、多くの場合で変更可能です。担当者に「棚板を可動式に変更したい」と早めに相談してみてください。
Q3. 可動棚は見た目がゴチャつきませんか?
ダボレールは目立たないタイプもあり、扉を閉めれば固定棚とほぼ同じ見た目です。中を開けたときも、整然と使えます。
次回予告
📢 次回の記事
収納の三種の神器の残り2つ、「シューズクローク(シュークロ)」と「納戸」について。
- 玄関がカオスになる原因
- 季節物・防災グッズの上手な収め方
- 使いやすい納戸の考え方
どうぞお楽しみに!